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カカオ高騰で、チョコレートの値上げが続いています。「チョコレート企業は、どうやって儲けているのだろう」「会社によって、影響はどう違うのだろう」と気になったことはありませんか。この記事では、チョコレート企業のビジネスモデルを4つのタイプに分けて比べます。
わたしは配当金でチョコを買うブログを書いていて、チョコ好きの投資家でもあります。お店でチョコを買うたびに、「この一粒は、誰がどう儲けているのだろう」と思っていました。決算の数字を読むのは苦手な方も多いと思うので、専門用語には補足をつけて進めます。
この記事を読むと、次の3つが分かります。
- チョコレート企業の「儲け方」の4タイプ
- カカオ高騰で、各社の利益がどう動いたか
- 型だけでは明暗が決まらない、という意外な結論
チョコ会社は何で儲けている?4タイプに分けて見る
同じチョコレートを扱っていても、「誰に」「どこで」売るかで、儲け方は大きく変わります。この記事では、次の4タイプに分けます。
| タイプ | 代表的な会社 | 誰に・どこで売るか |
|---|---|---|
| ①量販ブランド型 | 明治HD、森永製菓 | スーパー・コンビニなどで、全国に大量に売る |
| ②専門店・ギフト型 | モロゾフ | 直営店や百貨店などで、洋菓子を贈り物としても売る |
| ③BtoB原料型 | 不二製油 | チョコを作る会社やパティシエに、原料として売る |
| ④Bean to Bar・小規模型 | Minimal、ダンデライオンなど | 工房併設の店で、少量を高めの価格で売る |
※BtoB(企業向けの取引)とは、一般の消費者ではなく、企業を相手にする商売のことです。
※Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)とは、カカオ豆の選定から板チョコ作りまでを、一つの工房で行う作り方です。
なお、ロッテも国内チョコの大手ですが、わたしの認識では上場しておらず、決算の数字を見られません。この記事では取り上げません。
①量販ブランド型:明治・森永(スーパーやコンビニで売る)
「きのこの山」「たけのこの里」「ダース」など、誰もが知っているブランドを、全国の店で大量に売るタイプです。強みは、売る量の多さです。弱みは、原料の値上がりを、すぐには値札に反映しにくいことです。
明治ホールディングスは、チョコだけの会社ではありません。2026年3月期の売上は、食品が9,415億円で全体の約8割を占め、残りは医薬品です。食品のなかで、チョコレートは「カカオ」という事業区分に入っています。
その「カカオ」事業の2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)は、決算の内訳を解説した記事によると、次のようになりました。
- 売上高:436億円(前年同期比+12.7%)
- 営業利益(本業のもうけ):20億円(同−34.2%)
売上は伸びたのに、利益は約3分の2に減りました。主因は、カカオ相場が高い時期に調達した原料の使用によるコスト増と、為替だと説明されています。「チョコはよく売れたのに、原料代がそれ以上に上がった」という状態です。
一方、明治HD全体の同じ期間は、売上高2,894億円(+5.8%)、営業利益227億円(+27.7%)でした。カカオ事業が減益でも、会社全体は増益です。チョコ以外の柱があることで、落ち込みを吸収できています。
森永製菓は、2026年3月期の売上高が2,367億円(前期比+3.4%)、営業利益が224億円(同+5.3%)の増収増益でした。会社の説明では、カカオ関連の原料コストの上昇が重しになった一方、価格改定とコストダウンで補い、第4四半期にはカカオ相場の安定と原料の置き換えが増益に効いたとされています。なお、森永製菓の事業区分では、チョコレートだけの数字は取り出せません。
同じ量販型でも、明治のカカオ事業は減益、森永製菓は全体で増益と、結果が分かれました。この理由は、後ほど整理します。
明治のチョコを実際に買って食べた話は、こちらの記事に書いています。
【配当金1,308円で明治ザ・カカオを買った話】
②専門店・ギフト型:モロゾフ(贈り物としても売る)
次は、直営店や百貨店などで、チョコレートを含む洋菓子を、贈り物としても売るタイプです。ブランドの力で価格を決めやすい、と考えられがちです。
モロゾフは、洋菓子の製造販売が売上の約94%を占め、なかでもチョコレートやクッキーなどの干菓子が約7割です。販売は直営店35店と準直営店141店を中心に、主に百貨店や量販店で行っています。
その2026年1月期の決算は、次のようになりました。
- 売上高:363億円(前期比+0.7%)
- 営業利益:12.6億円(同−38.6%)
- 営業利益率:3.5%(前期は5.7%)
売上はほぼ横ばいでしたが、営業利益は4割近く減っています。報道では、カカオを中心とした原材料の高騰が利益を押し下げたとされています。
「ブランド力があれば、値上げで乗り切れる」とは、数字を見る限り言い切れません。贈り物の価格には、「このくらいの金額で贈りたい」という相場感があります。値上げをしても、お客さんが数や内容を減らせば、利益は思ったほど増えません。
③BtoB原料型:不二製油(チョコを作る会社に売る)
わたしたちが普段、目にしないタイプです。不二製油は、お菓子メーカーやパティシエなどに、業務用のチョコレートを原料として売っています。
2026年3月期の連結売上高は7,723億円で、営業利益は298億円でした(前期は99億円)。このうち、業務用チョコレートは売上3,752億円で、売上の半分近くを占めます。
注目したいのは、業務用チョコレート事業の利益です。
- 2026年3月期のセグメント利益:23.9億円(利益率0.6%)
- 前期(2025年3月期):−158億円の赤字(利益率−4.7%)
※セグメント利益とは、会社が事業ごとに公表している、その事業の利益のことです。
売上が3,752億円もあるのに、利益は23.9億円です。大量に扱う分、カカオ相場の影響が大きく出やすいタイプだと分かります。前期は、カカオ高騰の影響で大きな赤字になりました。
会社の説明では、カカオ高騰で世界的にチョコレート菓子の消費が冷え込む局面が続いた、とされています。そのうえで、販売価格の改定でカカオに由来する特殊要因は解消に向かうと見ており、2027年3月期の業務用チョコレート事業の事業利益は、155億円(前年比131億円増)を計画しています。ただし、カカオ価格が下がれば、今度は販売価格を調整するリスクもある、と会社自身が説明しています。
このように、BtoB原料型は、利益の振れ幅が大きいタイプです。
上場している会社は、株を買えば「株主」になれます
ここまでに出てきた明治HD、森永製菓、モロゾフ、不二製油は、いずれも上場企業です。株を買えば、その会社の株主になれます。そして4社とも、株主に自社の製品などを贈る株主優待があります。
※株主優待とは、株を持っている人に、会社が自社の商品やクーポンなどを贈る制度です。
| 会社 | 優待の内容(100株の場合) | 株主名簿の基準日 | 贈られる時期 |
|---|---|---|---|
| 明治HD | 自社グループ製品の詰合せ(1,500円相当)。100株以上を3年以上持つと、「長期保有感謝BOX」も贈られる | 3月末(長期保有の判定は3月末・9月末) | 10月末ごろ |
| 森永製菓 | 自社製品の詰合せ。6か月以上の保有で1,500円相当、3年以上で2,500円相当 | 9月末(3月末と9月末の両方で記録) | 翌年2月下旬〜3月中旬 |
| モロゾフ | 自社製品。6か月以上の保有で1,000円相当、3年以上で2,000円相当。株数が増えると、店舗で使える割引券も選べる | 7月末(保有期間の判定に1月末も使用) | 11月下旬ごろ |
| 不二製油 | 自社グループ製品。半年以上の保有で1,000円相当 | 3月末・9月末 | 11月下旬ごろ |
※優待は変更や廃止になることがあります。購入前に、必ず各社の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
※明治HDと森永製菓は、希望すれば優待品の代わりに寄付を選べます。
優待を目当てに株を買うなら、押さえておきたい点が3つあります。
- 100株単位で買います。 株価によりますが、十数万円から数十万円の資金が必要です。
- 優待の金額は、小さめです。 優待だけで元が取れる、という考え方は避けたほうがよいと思います。株価が下がれば、優待の価値より損のほうが大きくなることもあります。
- 持つ期間で、優待が変わる会社が多い。 森永製菓、モロゾフ、不二製油は、保有期間に条件があります。買ってすぐには、もらえない場合があります。
わたしは「配当金でチョコを買う」ブログを書いていますが、「株主優待でチョコが届く」というのも、チョコ好きにはうれしい楽しみ方だと思います。ただ、この記事は、どの銘柄がよいかを評価するものではありません。最終判断は、ご自身でお願いします。
株主になるための口座の開設は無料で、手続きはスマホだけで完結します。
証券会社の選び方は、こちらの記事に書いています。
【SBI証券・楽天証券・マネックス証券を比較した結果、高配当株投資ならマネックスから開くべき理由】
④Bean to Bar・小規模型:Minimal・ダンデライオン
最後は、カカオ豆の選定から、チョコを作って売るところまでを、小さな工房で行うタイプです。作る場所と売る場所が同じなので、お客さんが作り手と話せるのが魅力です。
非上場の会社が多く、決算の数字は公表されていません。そのため、この記事では数字で比べられません。代わりに、わたしが実際に訪れたお店の記事をご紹介します。
【Minimalのチョコレートは何が違うのか?富ヶ谷本店で試食して気づいたこと】
【ダンデライオン・チョコレートが教えてくれた、カカオの本質】
チョコレートを作る人たちの思いは、こちらにもまとめています。
【チョコレートを作る人たちの物語:一粒に宿る情熱】
カカオ高騰で、4タイプの明暗はどう分かれたか
ここまでの数字を並べます。
| 会社(タイプ) | 直近の動き |
|---|---|
| 明治HD(量販) | カカオ事業は売上+12.7%、営業利益−34.2%(2026年4〜6月)。会社全体は営業利益+27.7% |
| 森永製菓(量販) | 全体で増収増益。営業利益+5.3%(2026年3月期) |
| モロゾフ(専門店・ギフト) | 営業利益−38.6%、営業利益率3.5%(2026年1月期) |
| 不二製油(BtoB原料) | 業務用チョコの利益は前期の赤字から黒字化。利益率0.6% |
「量販型は強い」「専門店はブランド力がある」と、型だけで勝ち負けは決まっていません。同じ量販型の明治と森永でも、結果が違います。わたしは、分かれ目は次の3つだと考えています。
- 原料を買ったタイミング。 カカオ相場が高い時期に仕入れた原料は、数か月遅れて費用になります。その時期と、販売する時期のずれで、利益が大きく動きます。
- 値上げの時期と、数量の落ち方。 値上げが早く、買う人が減らなければ、利益は守れます。
- チョコ以外の収益の柱。 明治は医薬品や乳製品、森永はチョコ以外の事業があり、チョコの落ち込みを吸収しやすくなります。専業に近いほど、カカオ相場の影響はそのまま出ます。
2024年春の報道では、カカオ豆の国際価格は1年で約3倍になり、日本のカカオ豆輸入の約8割はガーナ産でした。産地の天候不順が、世界のチョコ企業に同時に響いた形です。その後、不二製油は2026年5月の決算説明で「カカオ価格は下落基調」と話しています。今後は、安く仕入れた原料が増え、これまでとは逆の動きが出る可能性もあります。
まとめ:次にチョコを買うとき、見てみてほしいこと
- チョコ企業の儲け方は、量販ブランド型、専門店・ギフト型、BtoB原料型、Bean to Bar・小規模型の4タイプ。
- カカオ高騰で、売上が伸びても利益が減る会社があった。型ではなく、原料を買ったタイミングや値上げの時期、チョコ以外の収益の柱で明暗が分かれた。
- 数字を見ると、普段買っているチョコが少し違って見える。4社には株主優待もあるので、株主として楽しむ方法もある。
次に、スーパーやお店でチョコを手に取るとき、「これは誰が、どう儲けているのだろう」と少し考えてみてください。
投資の最終判断は、ご自身でお願いします。わたしは投資助言者ではなく、この記事は特定の銘柄を勧めるものではありません。
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