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値段は同じなのにチョコが小さくなる「シュリンクフレーション」。企業の利益にどう影響するのか、気になったため調査してみました。決算書の数字を見ても「会社の中で何が起きているの?」と思うことが多く、身近なチョコを例に読み解いてみました。難しい言葉は、その都度説明します。
チョコは本当に小さくなった?
明治は、2025年5月20日の発売分から、内容量を次のように減らしました。
| 商品 | 変更前 | 変更後 | 減少率 |
|---|---|---|---|
| きのこの山 | 74g | 66g | 約11% |
| たけのこの里 | 70g | 63g | 10% |
会社は「原材料の値上がりや人手不足などで、これまでの努力では今の値段で売り続けるのが難しくなった」と説明しています。さらに2026年11月出荷分からは、同じ商品を含む11品を約3〜8%値上げします。先に量を減らし、のちに値上げという順番です。
ちなみに、2023年に広まった「板チョコが小さくなった」という投稿は、大手3社が「2015年以降は変わっていない」と否定しました。印象ではなく、事実で確かめることが大切です。
会社の「儲け」を3つの言葉で
まず、3つの言葉を覚えてください。
- 売上:商品を売って受け取るお金
- 原価:商品を作るためにかかったお金(主に原料代)
- 粗利(あらり):売上から原価を引いた、商品そのものの儲け
たとえば、100円のチョコの原価が60円なら、粗利は40円です。100枚売れば、売上10,000円、原価6,000円、粗利4,000円になります。
ここでカカオが高騰して、原価が75円に上がったとします。会社はどうするでしょう。次は架空の例です(買う人の数は変わらないものとします)。
| 会社の対応 | 売上 | 原価 | 粗利(100枚) |
|---|---|---|---|
| 何もしない | 10,000円 | 7,500円 | 2,500円 |
| 値上げ(110円に) | 11,000円 | 7,500円 | 3,500円 |
| 内容量を10%減(100円のまま) | 10,000円 | 6,750円 | 3,250円 |
何もしないと、粗利は4,000円から2,500円に減ります。値上げでも内容量減でも、粗利は取り戻せます。違いは、お客さんの受け止め方です。値上げは「高くなった」と感じて買う人が減るかもしれません。内容量減は値札が同じなので買う人が減りにくい反面、気づかれると不満が出ます。
高い原料の「痛み」は、あとから出てくる
電車の回数券でたとえてみましょう。1回200円の電車が、来月から230円に値上がりするとします。値上がり前に回数券をまとめて買っておけば、使い切るまでは1回200円で乗れますよね。つまり、乗るたびのコストは、今日の運賃ではなく、回数券を買ったときの値段で決まります。
会社の原料も同じです。原料は、買ったときは「在庫(会社の持ち物)」として帳簿に載り、チョコが売れたときに、はじめて「原価(使ったお金)」に変わります。このとき原価になるのは、基本的に買ったときの値段です(実際は平均を取るなど、細かいルールもあります)。この記録のルールを、簿記では「仕訳(しわけ)」と呼びます。
流れにすると、こうなります。
原料を買う → 在庫が増える → チョコが売れる → 在庫が原価に変わる
つまり、カカオが高いときに買った原料が倉庫に残っている間は、相場が落ち着いても、原価が重いままです。反対に、安く買った原料が残っていれば、相場が上がっても原価は軽く済みます。値上がりの影響は、買った時期から遅れて決算に出てくるのです。
「高いとき」とは、いつのこと?
「高いときに買った原料」とは、いつの話でしょうか。ニューヨークのカカオ価格(1トンあたり)は、おおよそ次のように動きました(数字は目安です)。
| 時期 | カカオの価格(目安) |
|---|---|
| 2022年 | 約2,400ドル |
| 2023年後半 | 上がり始める(「カカオショック」) |
| 2024年末ごろ | 1万ドル台前半まで上がり、史上最高値に |
| 2025年 | 下落に転じ、10月には1年ぶりの安値(約6,000ドル台) |
| 2026年10月 | 約5,600ドル台 |
つまり、高かったのは2024年から2025年前半ごろです。このころに買った原料が、2025〜2026年の決算に出てきたと考えられます。明治の内容量減(2025年5月)や値上げ(2026年11月出荷分)も、この影響を受けているのかもしれません。最近は最高値の半分ほどまで下がったので、安く買った原料が増えれば、原価は軽くなる方向です。
会社の中で起きていそうなこと(推測)
決算書は結果しか見せてくれないので、ここからは推測です。会社は詳しい理由を公表していません。
- 値上げはお店との交渉が必要ですが、内容量の変更は自社の準備で進められます。先にできるほうから手をつけたのかもしれません。
- 高値で買った原料が倉庫に残っている間は、使う量を減らして、原価の増え方を抑えたかったのかもしれません。
決算書で確かめてみる
明治のチョコが入る「カカオ」事業の2026年4〜6月は、決算を解説した記事によると、次のようでした。
- 売上高:436億円(前年同期比+12.7%)
- 営業利益:20億円(同−34.2%)
※営業利益とは、売上から原価や人件費などを引いた、本業の儲けのことです。
よく売れたのに、儲けは約3分の2に減っています。主因は、相場が高い時期に買った原料を使ったことによるコスト増だと説明されています。さきほどの「高い原料の痛みは、あとから出てくる」が、決算にも表れているように見えます。
決算書は、自分の持ち株のものを読むと、ぐっと身につきます。マネックス証券の「銘柄スカウター」は決算の数字が見やすく並ぶので、慣れるのに役立ちました。口座の開設は無料で、手続きはスマホだけで完結します。
使い方は、こちらの記事に書いています。
【銘柄スカウターの使い方】
まとめ
- 値上げも内容量減も、原価が上がった分の粗利を取り戻す方法。ただし、値上げは「高くなって買う人が減るかも」、内容量減は「小さくなったと気づかれて不満が出るかも」と、心配ごとが違う。
- 原料は買ったとき在庫になり、売れたときに「買ったときの値段」で原価になる。だから、カカオが高かった時期の影響は、遅れて決算に出る。
- 決算書の数字と身近な出来事を結びつけると、会社の中で起きたことを想像できる。
次にチョコを買うとき、「この一粒は、帳簿の上でどう動いているのだろう」と考えてみてください。口座の開設は無料で、手続きはスマホだけで完結します。
各社の儲け方の違いは、こちらで比べています。
【チョコ企業の儲け方は4タイプ。ビジネスモデルで比べてみた】
この記事は推測を含むため、投資の最終判断はご自身でお願いします。特定の金融商品や銘柄を勧めるものではありません。
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