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2025年9月、大阪・関西万博を訪れました。目当てはひとつ、カカオ産出国のパビリオンです。
これまでこのブログでは、ブランドや産地について「調べたこと」を書いてきました。今回は、産地の国そのものが目の前にある、という珍しい機会でした。コロンビア、コモンズB(ベリーズ)、コモンズD(サントメ)という順に巡った、その日の記録です。
コロンビア館:コーヒーの行列とパネルディスカッション
コロンビアといえばカカオよりも、まずコーヒーの国として有名です。実際、売店にはコロンビア産の豆から挽いたコーヒーを求める長蛇の列ができていました。
並んでいる最中、コロンビアのコーヒー豆輸出企業の担当者とバリスタによるパネルディスカッションがちょうど開催されており、列からその様子を眺めることができました。終了後には来場者にコーヒーが振る舞われ、思いがけず貴重な体験になりました。
コロンビア館は自然そのものに焦点を当てた展示が印象的で、コーヒー豆・カカオ豆の実物が並び、香りや質感を間近で感じられました。実際に手で触れることはできませんでしたが、農産物としてのカカオを意識する機会になりました。
カカオハンターと出会う:コロンビア館のチーズケーキ
コロンビア館の売店で目に留まったのが、「カカオハンター」監修のチョコレートチーズケーキです。
カカオハンターとは何者か
カカオハンターは、小方真弓さんという日本人がコロンビアで活動する際に名乗っている肩書きです。チョコレート・カカオ業界に長く従事したのち、2011年から活動拠点をコロンビアに移し、カカオの発掘・品質向上・生産農家の発展支援・チョコレートの開発製造までを一貫して手がけています。手がけるブランド「CACAO HUNTERS」は国際的なチョコレートアワードでも複数の受賞歴があり、世界的に評価の高いコロンビア産チョコレートブランドのひとつです。
「カカオハンターが監修しているなら外れはないだろう」と思い、迷わず購入を決めました。
レチョナから始まるコロンビアの食体験
コーヒーの行列と同じ列に並び、約2時間待ちました。せっかくならデザートだけでなく食事もと思い、コロンビアの代表的な料理「レチョナ」も注文しました。コロンビアではお祝いの席で振る舞われる料理だそうで、豚肉のうまみが染み込んだ豚肉と豆の炊き込みご飯です。現地の料理に触れる機会はなかなかないため恐る恐る口にしましたが、想像以上に美味しくいただけました。
カカオチーズケーキの味わい:重くない完成度
その後にデザートとして食べたカカオチーズケーキは、チーズの濃厚さとカカオの苦みが合わさりながらも、もったりとした重さがなく、それでいてデザートとしてしっかり完成された一品でした。2時間並んだ甲斐のある味だったと感じています。

ベリーズ館・サントメ館:カカオが「生活」である国々
ベリーズ:カカオニブとカカオティーが並ぶ日常
コモンズB館のベリーズブースでは、煎ったカカオニブの実物や、カカオティーのパッケージが展示されていました。想定していた以上に、現地の生活の中でカカオが身近な存在であることが伝わってきました。赤道ギニア・コートジボワール・マダガスカルといった国々のブースでも、カカオは国の文化紹介の一部として自然に登場していました。

サントメ×カフェタナカ:完売した人気と、産地支援活動の展示
コモンズD館のサントメブースは、日本のブランド「カフェタナカ」との共同出展でした。カフェタナカは2019年にサントメ・プリンシペ自社のカカオ農園を開園し、現地の女性たちと協力しながら原種に近いカカオの再生を目指す「サントメプロジェクト」を続けてきたブランドです。
会場ではサントメ産カカオを使った「ビスキュイ・ショコラサントメ」や、大阪・万博限定のクッキー缶などが販売されていました。ただ、訪れたときにはすでに完売しており、実際に購入することはできませんでした。名古屋の本店では常に行列ができるほどの人気ブランドだと知り、その人気ぶりに納得しました。ブースにはサントメでの農園再生活動についての展示もあり、単なる商品販売以上に、産地との継続的な関係性を伝える場になっていました。
これまで「カカオ産出国」という文脈でしか見てこなかった国々を、実際に足を運んだことで、文化的背景や産業構造まで含めて少し理解できた気がします。

投資家として気づいたこと:官民連携というキーワード
生産者が報われていないという現実
各パビリオンを巡って改めて感じたのは、カカオ生産者があまり報われていないという現実です。児童労働の撤廃やフェアトレードの履行によって生産者の実入りを改善する取り組みが各所で進められていますが、そもそもカカオの生育管理や病害対策は一農園だけでは対処しきれない部分が多く、その国全体の産業構造にも左右されます。
消費国側の企業が果たす役割
だからこそ、消費国側の企業が果たす役割は大きいのだと理解できました。カカオ産業を持続させるため、明治のような大手食品メーカーが生産者支援やサプライチェーンの効率化に取り組み、Bean to Barブランドの中にも契約農園を構えながら地域全体に農園経営のノウハウを広げていく例があります。こうした支援がなぜ必要とされているのか、産地を歩いたことで具体的に腑に落ちました。
万博で見た最先端テクノロジーと、ハイプ・サイクルという視点
万博全体を通して感じたのは、空飛ぶクルマやドローンショーに代表される、最先端テクノロジーのお披露目の場でもあったということです。少し先の未来への期待を感じる一方で、こうした技術を企業が実際に使いこなす場面はまだ先の話だとも思いました。特に日本では法令上の制約が多く、外資企業の参入障壁も高いのが実情です。
技術への期待度は、ガートナーが提唱する「ハイプ・サイクル」という考え方で説明されることがあります。新しい技術は「黎明期」から始まり、「過度な期待のピーク」を迎えたのち、現実とのギャップに直面する「幻滅期」を経て、実用段階である「生産性の安定期」へと落ち着いていく、という考え方です。

※出典:Gartner、2025年の日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクルを発表
2025年時点の分析では、生成AIはすでに幻滅期に入りつつある一方、AIエージェントは今まさに「過度な期待のピーク」を迎えています。つまり技術によって、今どの段階にあるかはバラバラです。現在の相場でAI・半導体関連への投資が過熱しているという懸念もありますが、こうした「今どの波の、どの段階にいるのか」を意識することが、テクノロジー投資と向き合ううえで欠かせないと感じています。
高配当株投資の文脈においても、生成AIやフィジカルAIといった最先端技術への新規事業開発・設備投資に挑戦している企業は、新規市場の開拓や業務効率化が今後進んでいく可能性があります。売上・利益といった数字だけでなく、中期経営計画に表れる経営者の言葉のトーン(定性分析)も加味しながら、長期的に成長していく投資先を吟味していきたいと考えています。
まとめ:産地を歩いて、投資の見え方が変わった
- コロンビア館では実物のカカオ・コーヒー豆を通じて農産物としてのカカオを実感
- カカオハンター(小方真弓さん)監修のチーズケーキは、2時間の行列に見合う完成度だった
- ベリーズ・サントメでは、カカオが生活に根ざした国の文化として展示されていた
- カフェタナカのサントメプロジェクトは、産地支援と商品開発を両立させる好例
- 生産者支援には官民連携が不可欠で、消費国企業の役割の大きさを実感した
チョコレートを「買う」だけでなく、「産地を歩く」という体験は、投資という営みの見え方も少し変えてくれました。まずは証券口座を開いて、自分なりの学びと投資のサイクルを育ててみてください。
保有銘柄の全体像についてはこちらの記事でまとめています。
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